通達する側になった日のことは、正直あまり覚えていない。手順書の通りに話して、相手の顔をまっすぐ見られなかったことだけが残っている。本当に覚えているのは、その翌週のことだ。会議室に残った六人と向き合ったとき、全員が私の次の一言を待っていて、そして私は用意していた言葉が全部嘘に思えて、何も言えなくなった。
言わなくてよかったこと
研修では「前を向こう」と伝えろと習った。実際に口に出しかけて、やめた。前を向けるわけがない。昨日まで隣に座っていた人がいないのだ。代わりに、私が知っていることと知らないことを、そのまま並べて話した。次の削減があるかは私にも分からない、と正直に言った。
あとから何人かに言われたのは、分からないと言ってくれたのがよかったということだった。大丈夫だと言われていたら、次に何か起きたときに二度と信じられなくなっていた、と。
それから半年でやったこと
- 抜けた人の担当領域を、埋めるのではなく、いったん「やらないこと」として明示した。
- 残ったメンバーの罪悪感について、一度だけ全員の前で言葉にした。触れないほうが重くなると思った。
- 自分自身のケアを後回しにして、三か月後に自分が潰れかけた。ここは失敗だったと思う。
正解を出せた実感はいまもない。ただ、あの週に取り繕わなかったことだけは、間違っていなかったと思っている。