チームで一番頼りにしていたシニアが、静かに擦り切れていくのを半年見ていた。レビューは的確なままだったし、締め切りを落としたこともなかった。ただ、Slack の返信が少しずつ深夜に寄っていき、雑談チャンネルから姿が消えた。1on1 で聞くたびに返ってくるのは「大丈夫です」だけだった。
踏み込めなかった三か月
最初の三か月、私は何もできなかった。踏み込めば信頼を壊す気がしたし、本人が大丈夫と言っているものを否定する権利が自分にあるとも思えなかった。代わりにタスクを減らした。それが余計に効いてしまったのだと、あとで本人から聞いた。仕事を取り上げられたと感じたそうだ。
変わったのは、私が質問の形を変えてからだった。「調子はどう」ではなく「今週、一番しんどかったのはどの瞬間だった」と聞いた。前者には大丈夫としか答えられない。後者は、具体的な場面を思い出さないと答えられない。彼は少し黙ってから、水曜のあの会議、と言った。
やってよかったこと
- 解決策を出すのをやめた。最初の数回は、ただ聞いて、メモを取って、終わりにした。
- 自分の消耗も先に話した。こちらが弱さを出さないと、相手も出せない。
- 「休んでいい」ではなく「この期間は私が引き受ける」と、主語を自分にして伝えた。
半年後、彼はまだチームにいる。完全に元通りかと言われると分からない。ただ、しんどい時にしんどいと言ってくれるようにはなった。私にとっては、それが一番の成果だった。早く気づけたはずだ、という後悔はいまも残っている。