マネージャーになった週、初めて一行もコードを書かない金曜日を過ごした。夕方、その日やったことを振り返ろうとして、何も残っていないことに気づいた。会議に出て、相談に乗って、採用の書類を読んだ。どれも間違いなく仕事だったのに、自分が何かを作った感覚がまるでなかった。
手を動かして安心しようとした
耐えられなくなって、夜にこっそり小さなバグを直した。翌朝、担当していたメンバーが同じバグを直そうとしていたと知った。彼女の学ぶ機会を、自分の不安を埋めるために奪ったのだと気づいて、しばらく立ち直れなかった。
先輩の EM に相談したら、こう言われた。あなたの成果は、あなたのアウトプットではなく、チームのアウトプットとして現れる。だから遅れて見えるし、自分の手柄には見えない。頭では分かったが、体感として腑に落ちるまでにさらに二か月かかった。
今の自分に効いている考え方
- 週末に「今週、自分がいなかったら起きなかったこと」を三つ書き出す。会議の議事録には残らないものばかりだった。
- コードを書くなら、誰の学習機会も奪わない場所を選ぶ。開発環境の整備や、誰も触りたがらないスクリプトなど。
- 手を動かしたい衝動が来たときは、それが不安から来ていないか一度だけ疑う。
一年経ったいまも、金曜の夕方にふと手応えのなさを感じることはある。ただ、それはこの仕事の性質であって、自分が無能だからではないと、ようやく思えるようになった。